ちょうちょう発し その23 2025年10月
弔詩
先日、岩本勇元町長が亡くなられました。
謹んでお悔み申し上げます。
町は表彰条例に基づき、功労表彰を受けた方が亡くなられた際、弔慰金などを贈呈します。
特に町長や議長経験者には、弔詞(お別れの言葉)をお贈りすると規定されており、ご遺族の求めに応じ、葬儀に際して、弔詞を町長が読み上げることもあります。
すでにわたしも、大胡田育男元議長・代表監査委員、尾上信一元町長、そして、岩本勇元町長と、三方に弔詞をお捧げし、その都度、悼みながら、町長の役目の重さ深さを実感しています。
文章としては短く、その功績は当然書き切れませんが、弔詞は言わば最初の評伝でもあり、正確さが求められます。
長年町にご尽力された功績や履歴書をもとに、限られた時間の中で骨格を書き上げます。
それを基に、生前の謦咳(けいがい)に接していれば、私ごとではあっても、エピソードを加え、偲ぶことができます。
尾上元町長の、温厚な様子から思いも寄らない、議場で机を叩きながら、町づくりの思いを語られる姿を議員として目撃しました。
「人づくり」「道標づくり」「魅力づくり」は今なお、町政運営の王道であると、得心します。
岩本元町長が、中村保育園入園式で、開口一番「子どもは町の宝です」と朗らかにあいさつされ、移り住んで間もない私たちを安堵させてくれました。
町長職を退かれた後も、後に続く者の良いところを見出し、鼓舞されました。
わたしもその末席にいたひとりです。
しかし、それでは一面的に感じます。
そのため、一緒に働き、深い親交のあった方にお話を伺いまとめあげています。
議会などでご一緒したことはありませんでしたが、大胡田育男さんが、グリーンテクなかいの送電線などインフラ基盤整備に尽力されたことは、そうして書き加えられました。
その時々の苦労や背景、種まきをした事業、記録や調書だけではわからない部分を、往事をよく知る方から聞き、書き切れないほどにふくれあがった状態になりつつも、表現の端々に手を入れることによって、より正確に、かつその方の事跡行跡が温かみを持ってくるように思うのです。
「温故知新(故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る)」(論語)と言いますが、「温故」とはそうしたものなのでしょうか。引き続き、皆さまにお話を聞き、歴史を辿りながら、日々の歩みの糧にしたいと存じます。
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更新日:2025年10月01日